040 クマの事件簿 Part-2
ダンゼン犬派ですよ。
1985年の夏に、現在の家に引っ越してきました。乗り物にめっぽう弱いクマ殿は、それでも何とか”酔っぱらった30分”を持ちこたえ、新居に移ったのです。
当初は、住宅団地が出来て最初の時期だったので周囲にはまだ家も僅かで、ほど近い山の木々のざわめきまで聞こえてこようという閑静な環境でした。
フェンスなどの囲いもない庭に居て”ストレスフリー”で暮らしていたクマでしたが、そのうちにご近所で飼っている「必ず吠える対象」の犬と「吠えなくても良い」犬を分別をしていることに気づきました。
散歩に連れ出した時に特有の反応を示すのですが、クマの場合なぜか「柴犬」が大嫌いで毛並みが「白い犬」が好みのようでした。色で区別??
犬でも･･･と言っては悪いですが、やはり”好み”というのは人間社会も同じこと。
事件というのはその数ヶ月後のこと。
どうも飼い主が知らない間に”事実婚”があったらしく、引っ越した翌年早々、子犬を4匹出産したのです。
この頃はノラ君も出没していたのですが、中に白っぽいのもいたので、何となく疑いを持ったものの後の祭り。
どうだこうだと言った所で血統書付きなどという犬を飼っていたわけでもないし、結局は「事後承認」となったものの、生まれた子犬をどうするかが大問題。
辺りではどんどん家が建っていたこともあり、残材を頂いてきて犬小屋作りに励むことになりました。つまり家付きで養子に貰っていただける知り合い捜しです。
1匹ずつ貰われていくのは寂しさもありましたが、4匹共に保健所に行かずホッとしたものです。
↓
やはり親の子です！
近年になってからの「後日談」
昨今、若い親が自分の子供に対して虐待をする、育児放棄をする、あげくは命まで奪ってしまう事件が後を絶ちません。
こんなニュースを聞くと、決まってあの頃のクマを思い返します。
玄関の犬小屋の中で、陣痛（だと思う）で唸っているのが可愛そうだと獣医さんに電話すると「犬というものはね・・・」と優しく諭され、今度は翌朝にネコの子みたいな小さな泣き声に感動・・・。
そうなんです。犬は、誰の手助けもなく、誰に教えられるでもなく子供を産み、回りの汚したものはすべて自分で片付け、自分が小用を足しに行っても、済んだら飛んで帰ってくる、まさに”かいがいしい”とはこのことを言うかのようでした。
それに引き替え！っと言うのが最近の親のこと。
人間社会には「負うた子に教えられ」なんて諺がありますが、この時ばかりは飼い犬に教えられましたねぇ。
039 今でも使える
BICライター
国内の主流は
東海精器
その昔の若い時代のこと。煙草の火付け道具といえば、喫茶店で貰うマッチが主役でした。ライターでもZIPPOオイルライターでも持っていれば、それとなくサマになったのでしょうが、分相応な持ち物かどうかの条件が整わなくてはなりません。
いわゆる”ZIPPO風”なら色々ありましたが・・・・
そんな中、1970年代に”見える見える”のコマーシャルでヒットした、あのボールペンのBIC社から使い捨てガスライターが登場したのです。
文字通りその後の、いわゆる100円ライターの「火付け役」となったのですが、このBICの原産国がなんとフランス。
手軽に購入し易い値段（忘れましたが、当時で2～300円したかも）と、フランス製という何とも”オシャレ”そうな語感が効いて、愛煙家の多くはお気に入りで使っておりました。
しかし、所詮は使い捨ての消耗品。
ガスがなくなれば捨てられる運命でもあります。
と、そこでこのガスライターの仕組みさえ分かれば・・・・という好奇心をより所にして、一旦バラバラにしてその構造を調べ上げました。
ガスの吐出ノズルは、着火の火花を発生させる指の動きに連動してわずかに持ち上げられることでガス栓が開き、ガスが出て着火という一連の動きで炎となります。
そこで、炎の大きさを調整するリングを「開」方向に緩め、補充用ガスボンベからガスを逆送できないかということになり実験したところガス注入に見事成功し、繰り返しの利用が出来るようになったのです。今で言うリサイクル、或いはリユースといったところでしょうか。(3～4回が限度)
（よい子の皆さんはマネをするとキケンです！）
その後またたく間に「100円ライター」が出回り、楕円形の断面を持ったBIC独特のスタイルは価格競争の中でシェアを奪われていったように思います。
煙草をやめた段階では、家の中には結構な数のライターが転がっていましたが、花火や蚊取り線香など、使い道は残っています。（あれば大変便利なことも）
・・・が、そのうちガスの残量は確認できるものの”火がつかない”現象が続出するようになり、そうなるとガスを抜いて捨てるしかありません。
そんな中、生き残ったのが「BIC製」
なんと、昔の使い勝手と変わらず、一回で着火するのです。
結局は、「品質」の差。
当初は過剰品質かと思われたこんな小物でも、20年以上(30年かも)経た今でも使えるというところに、もの作りへの真摯な姿勢が見えようというものです。
昨今、わざわざ「日本製」と銘打った商品があります。日本のメーカー製でも、多くの家電は海外生産です。そんな中で「日本製」の文字は明らかに「信頼」に繋がり、安心感として伝わってくるのでしょう。
ライターだけは別でしたが・・・(^^;
たまたま机の奥から出てきたBICライターを手にして、今でも日本国内でのBICブランドの揺るぎない地位はこの時代から築かれていたのだ思うのです。
038 ごちそうさん
適度なコゲがGoo !
比較的家が近かったからか、気が合ったのか定かではありませんが、まもなく友だちとして遊ぶようになったのです。”遊ぶ”とは言っても、記憶にあるのは彼の家に行って宿題をしたり、また何かをしていたと言うことで、それが何だったのかは思い出せないままなのです。
その彼には「セキタン」というあだ名がありました・・というか付けられました。
当時の国鉄職員は、駅の敷地内にある「官舎」で生活している関係で、常に鉄道と駅から離れられない状態にありました。
その頃に走っていたのは蒸気機関車でしたから、機関車から出る煙と共に、身体に染みこんだ（と言いがかりをつけた）石炭の匂いのイメージがそのまま彼のあだ名になったものでした。
彼自身も、何回かの親の転勤に付き合っているらしいことから、とりたててそのあだ名を嫌がるということもなく、自然に受け入れていたようでしたが、今思えば転校生の生活の知恵だったかもしれません。
さて、それらの思い出の中で最も記憶に残っているのが、写真にあるドーナッツ型のケーキ焼き器のことです。
このナベ型のケーキ焼き器は中央に穴が空いていて、下に置いた七輪の火が中心から中まで届くような仕組みになっています。
彼のお母さんが、こうしたお菓子作りが得意と見えて、遊びに行くと何回か作ってくれたました。
自分の家では、こんなシャレた物もないし、そんなシャレた物を作るという”文化”はなかったので、さすがに「国鉄の人」はすごいなぁと、国鉄とは関係なさそうなことで感心したものでした。
いささかビンボーくさい話ではありますが、こんなことが又々引っ越していった彼の思い出なのです。
まさに、「食べ物の恨み・・」どころか、今のNHK朝ドラにある「ごちそうさん」の心はその後半世紀も生き続けているのです。 ”ごちそうさん”
037 焼き芋（石焼き芋）
こんな石焼き芋用ナベが
売られています。
でもこれは単に
美味しくするためだけの
道具に過ぎない。
サツマイモを熱した小石の中に埋めて、間接加熱によって焼いたもの。
間接的にゆっくり加熱することで、アミラーゼ（デンプン分解酵素）が、デンプンを麦芽糖に変える。そのため、通常の焼き方よりも甘く仕上がる。
さて、突然の話題に”？？？”の向きもあろうかとは思います。
実は前回の「川辺の遊び」が記憶のネタに点火したと言うことなのですが･･･サテ。
またまたガキどもの遊びです。
【用意するもの】
①サツマイモ
②空(カラ)の一斗缶（長辺の一ヶ所を開けているもの）
③川原の石ころ混じりの砂
④たきぎ
【調理？】
①一斗缶に前記③の砂を入れ、①のサツマイモを適当に埋めておきます。
②大きな石をかまど状に仕立て、その上に一斗缶を置いて、下から火を焚きます。
③時間にしてどれくらいでしょう。（忘れました）・・・砂が熱せられて相当に
熱くなり・・・という頃合いを見て、イモを堀りあげます。
これで、見事にほっかほかの石焼きイモの出来上がり。
都会では「イシヤ～キイモッ」の名調子で売られている不滅の食べ物ですが、そんなものは見たことも聞いたこともない子供の時代。
石焼きイモ定義が何であるのか知らなかったけれど、その美味しさは遊び体験の中で知っていたと言うことですね。
Wikipediaには書いてありませんでしたが、美味しさの秘密の一つに『遠赤外線』の効用があるはずなのです。でなければ、焼き物のナベ(セラミック)である必要がないからです。
現代の子供たちの科学離れを嘆く大人は多いですが、今の子供たちは体験の中からその五感を通して学び、さらに興味を覚えた方向に向かうという、ごく自然なことが出来ないのですから、仕方ないことかもしれません。
あの缶に入れた砂の熱々感。記憶に残るのは体験があるからです。
036 カーバイド ＆ アセチレン
アセチレンランプ
「カーバイド」とは、簡単に言えば「炭化カルシウム」のこと。
情報によれば［石灰とコークスの混合物を電気炉で約2000℃に加熱することによって作られる。］とあります。
「アセチレン」は、このカーバイドに水分を与えるだけで発生するガスで、水と反応して水素を含みますから当然よく燃えます。
幼少時の実家近くにモータース、つまり自動車の修理工場がありました。
今でこそ機構やエンジン回りはその工場で、板金・塗装は専門工場でという時代ではなかったので、殆ど全てをその工場でこなしていたと思います。
板金作業の中には「溶接」がありますが、当時は電気溶接機材もなく、ガス溶接が主体でした。そのガスもアセチレンガスが主体で、ガス自身も自工場の片隅で発生させていたのです。
アセチレンガスの発生には「カーバイド」と「水」さえあればOKですから、簡単な発生装置が置いてありました。
我々子供たちは、そのカーバイドの”かけら”が手に入るので、これを使って遊ぶ術を心得ていたのです。
近所の子供たちは、年齢の異なる者同士で集まって、山で、川で、海で遊んでいましたが、年長者の経験とその遊びの中で自然に”技術伝承”が出来ていくのでした。
で、その遊びとは・・・川辺で行うことが鉄則。
①ラムネの空き瓶を用意します。
②その中にカーバイドの欠片を少々入れます。
③ビンに水を少し入れ、すぐさまビンを逆さにして数回振ります。
④カーバイドと水が反応した頃合いを見て、素早く川の中に投げ入れます。
⑤ボン！と鈍い音がして、ラムネのビンが水中ではじけます。
これだけのことなんです。
ビンがラムネ玉に蓋をされ、中で発生・膨張したガスの行き場がなくなった所で一種の「手榴弾」のような感じになるのですが、、・・・それにしても何と危険きわまりない遊びをしていたのでしょう。
学校ではやらない化学実験＜カーバイドが水と反応して”ジュワー”っと泡立ちガスを発生させる＞この”実験”の怖さと面白みの両方を感じていたと思うのです。
こんな「危険物」の取り扱いが容易に出来たと言うこと、または大人も厳しい目を向けることもなく、今ではとても考えられない楽しい時代だったのです。
そう言えば、食品の吸湿剤として使われている「生石灰」。
注意書きに”水に濡らすな”のようなことが書いてあります。
まさにこのことですが、残念ながらこれはまだ試したことがありません。
035 職人さん－Professional
鋲・Rivet
2年以上も前になるのでしょうか、蒸気機関車を修理復元して走らせるまでのドキュメンタリー番組を見たことがあります。
蒸気機関車という鉄の塊のような巨体が、あらゆる職人さんの技術で蘇る様子は、機械いじりが大好きな者にとっては見ていて飽きないものでありました。
その中にボイラー部分の修復に当たる工場での作業記録があり、「鋲(びょう・英語ではRivet）」でつなぐ職人技を見ながら、思い出す光景がありました。
幼い頃の家の近くには、汽車が走る鉄橋がありました。(参照：前ページのNo.020写真)
昔の鉄橋などの構造物の多くは、溶接ではなく鋲で結合するものが殆どだったのですが、その鉄橋では定期修理のたびに高い鉄橋の上で仕事をする人がいました。
ここで、その職人さんが登場するのです。
鋲打ちもその中の一部です。古い鋲を取り替える際には、鉄橋の下で石炭を燃やした火で鋲（左写真上のようなもの）を真っ赤に熱し、これを大きなヤットコ(*注)で挟んで上の人に放り投げるのです。
一方、上にいる人は、ジョウゴのような受け取り道具で、投げられた鋲をミットよろしく受け止め、素早く鋲打ちの穴に差し込み鋲打ち機でかしめていくのです。
この軽業のような息のあった光景は、子供の目で見ても素晴らしい技術というか、まさに”神ワザ”のように見え、スゴイ！の一言でした。
高さにして7～8m近く、道具で挟んで上に向かって投げる位置の正確なこと、大人はすごいなぁと思わせるには十分な作業光景でした。
（プロ野球の投手でも、こうはいかないゾ！）
現代では、メッタなことでは鋲を使う場所も機会もないでしょう。となると技術の伝承も不要となるのですが、何だかもったいないようで残念でもあります。
･････カラスのくちばし状の形で、モノを挟む道具です。→
↑（Webからお借りした作業光景写真） ↑実際の記事の鉄橋です。
まさに、こんなイメージです。
034 サッカー少年
もともと運動は得意とは思っていませんでしたし、走りも小学校の体力測定で50mを走った時のタイムを見て以来、計ったことはありません。
それは、高校の入学式の日に決まった・・・というより決められました。
登校すると、いろいろな部の先輩たちが並んでいて、その途中で呼び止められたのがサッカー部の先輩でした。入学式が済んだら残っておくようにとのお達しである。
中学生から見た高校生というのは、やたら大人びたイメージがあって、一言で言えばコワイ先輩です。
「足が遅いから」という理由で断ろうとしたら、「練習したら速くなる」の一言で申し出は即却下。気のきいた言い訳も出来ず、そこそこの上背があったばっかりに何だかそのままサッカー部員となってしまったのです。
当時のサッカー部は県下でも結構強いチームでした。それは1年生の時に中国大会に出場していることでもわかります。
今でも不思議に思っているのですが、何人かの新人がいながら、津山市で開催された大会についていくことが出来たのです。
次の年も大会に参加できたように思うのですが、なぜか記憶が乏しいのです。
我々が3年になってから（練習の成果が出て？）成績も芳しくなくなり、最終的には中国大会出場を逸しました。
予選の決勝戦、それも延長戦の後半、今様に言えば”ロスタイム”に点を入れられたことで負けたのが相当に悔しく、皆で揃って涙を流したことを覚えています。
たまたま校長がこの試合を観戦しており、次の朝礼で惜敗ぶりを紹介してくれて、何となく気持も落ち着いたものでした。
昭和30年後半頃のスポーツとしてのサッカーです。
ドイツのクラマー氏が日本のサッカー普及のための活動をしていた頃だったと思いますから、サッカーというスポーツそのものがメジャーであるはずもありません。
現在のサッカーの隆盛を見るとき、こんな時代になるとは夢にも思いませんでした。
最近になって、長兄が「あの頃からサッカーは人気があってやっていたのか」と訊くけれど、実態は前述の通り。
会社に居た頃、何かの折に「昔はサッカー少年でした。」と鼻を膨らませて言うと、一様に冗談だと思われ、まさに”一蹴”されました。まぁ私のカオとカラダツキ、ビンショウセイからは想像できないだけのことでしょう。
いつ辞めるかを考えていた部活でしたが、結局3年間続けたおかげで「貯筋」ができ、病気もせずに元気に過ごせているのは、今となっては有り難いことです。
033 声に惹かれて
ラジオしかない時代、ストーカーはともかくとして、”声に魅せられる”ことは理解しがたいことでもありません。・・・って？
独身時代、まだ個人用のテレビなんて買えない時代のメディアの主役は「ラジオ」でした。今でも、ラジオは生活の一部として定着しています。
特に、声と効果音だけで作られる「ラジオドラマ」などは、はっきりとその情景が浮かび、想像力を養う力にもなっていると思っていて、ラジオが好きな理由の一つでもあります。
今でも「パーソナリティ」と呼ばれる人が番組全体を仕切り、形作っていくものが続いているようですが、アナウンサーであれ、そういう方達の「声」が番組のイメージを作っていくのでしょう。
さてその昔、”聴くこと”がメインの時代には、放送局に「電話リクエスト」をすれば好きな音楽を流してくれるという番組がありました。（通称・電リク）
ただ、リクエストするだけではなく、友人や恋人などさまざまな人にメッセージを添えて贈ることができる仕組みがあったので、自分の名前が読まれるかどうかが楽しみでもあり、一種の「おみくじ」的な要素がありました。
当時、ラジオ局は競って「サテライト局」を構えるのがブームで、大阪・梅田の阪神百貨店ではラジオ大阪（OBC）が陣取っていましたし、京都には四条河原町の高島屋に京都放送(KBS京都)が設置されていたのではないかと思います。
京都はともかくとして、何曜日の担当だったかは忘れましたが、大阪・梅田では、落ち着いた女性アナウンサーが窓越しの通行人を相手に番組を進行しておりました。
とにかく声がいいのです。落ち着くのです。
一度お顔を拝見したいものだと願っていましたが、なかなかそんな機会も作れない状況の中、思い切って出かけてみたことがあります。
阪神百貨店は阪神電車・梅田駅の地上にあります。
階段を駆け上がり、人だかりの中を大きなガラス窓の向こうの「あの声」が発せられる方向を探しました。
「あっ、あの人だ！」と、すぐに判りました。
・・・・が、勝手に想像していたとはいえ、あの声とお顔のイメージがどうしても頭の中で一致しないのです。でも、たしかにあの声なのです。
それ以来、リクエストをしたいと思った記憶がありません。
さて後年、東京での勤務が始まってからの楽しみは、深夜のFM東京から日本航空の提供で繰り出される「Jet Stream」でした。
ナレーターの「城 達也」の深く静かな語りと共に、深夜の放送に相応しい選曲は、ミスター・ロンリーのテーマ曲と一体となって、音楽好きなら誰でも忘れることが出来ない番組になっていたのでした。
またその後年、大阪での勤務中にはこの番組が関西でも放送されることが決まり、その第1回オンエアーをしっかり”エアチェック”したのは言うまでもありません。
”エアチェック”・・・・懐かしい響きです。
今でも時々ラジオを好んで聴いています。
その中でもNHK土曜日午後の関西土曜ホットタイム「ボヤキ川柳アワー」は一人で聴いて笑うには勿体ないような秀作が揃っていて、とても楽しい時間です。
最近はテレビでお見かけしているアナウンサーが多いので、声を聴けば顔まで想像できてしまう時代になってしまいましたが､｢顔と声｣を同時に見聞きする時と｢声｣だけの時とはまた違った印象を持つこともあります。
また仮に、お顔が分からなくても、声に溶け込んだお人柄が伝わるような感じもするものです。
032 出生の”ヒミツ”？！
その生まれた場所というのが、終戦間近の疎開という意味合いだったのか、お袋の実家近く、文字通りの田舎でした。街で生まれた兄や姉よりひと味違う場所で生まれたと言うことが幼い心に疎外感を生じさせるような、そんな感覚を持っていた、いや持ち続けていたのです。
「家族の本籍って、みんな同じなんだ」ということが分かったのは、当時進学にしろ就職にしろ、その節目節目で戸籍謄本の提出が義務づけられていたことから、これを初めて自分で目にした時だと思うので、たぶん中学校進学時分だったのではないでしょうか。他人から見ればどうでも良いことなのですが、私にとっては妙に安心した記憶があるのです。
時が経過したある時代から、「差別問題」あるいは「プライバシー」への配慮が伴って、謄本をどこかへ提出することも、何かに記載する事もなくなりましたが、未だに覚えているということは子供心に大きな心配のタネだったことは間違いないと思われます。
その頃から２０年近く経ったある日、会社の人事部門から提出していた戸籍謄本が返却されてきました。
久しぶりに眺める複写の紙が赤茶けた”手書き”の謄本でしたが、そんな時代を回顧したこともありました。
ところが、”手書き”の文字であったことが、今でも生活の一部で尾を引いていることがあるのですが、これに関しては、項を改めたいと思います。
031 クマの事件簿 Part-1
Wikipediaより
『犬には食べ物の味は分からない』という説があったようですが、いえいえとんでもない。犬もしっかりと食べ物の味を噛みしめているようです。
我が家のクマはどちらかと言えば”濃いめ”の味が好みだったようで、炊き込みご飯にはメがありませんでした。普段はお皿に一杯だけの粗食で済ませていましたが、ことこれが炊き込みご飯となると、必ずおかわりの要求が来るのです。ツルンと1回目のお皿を片付けると”One!”と,もう一杯のおかわりコールをするのです。
生存期間中に何回の炊き込みご飯に巡り会えたか分かりませんが、1回たりともおかわりを欠かしたことはないほど、好物の代表格でした。
さて、事件というのは・・・・
クマは庭犬とは言え、夏は蚊の予防、冬は寒さへの対処ということで、玄関の中にある小屋で寝ていました。もちろん、首輪をつないでいます。
その日は日本人の好物の一つ「スキヤキ」の晩だったので冬のことだと思います。
もちろん、クマは”滅多にもらえない”お肉のご相伴にもあずかり、ご機嫌だったと思うのです。
子供たちも同じくご機嫌で、明日も「残り汁」が食べられる余韻を楽しみにしておりました。
ところが朝になって、驚いたことにスキヤキの残り汁が入っていたはずの鍋はもぬけの殻どころか、誰かが洗ったのかと思われるほどツルンとキレイに片付いておりました。
他の鍋に移したのだろうと、それぞれが判断したけれど、そんな者もいません。
そうなのです。その晩、適度におなかがすいて匂いに我慢できなくなったクマが、密かに首輪から抜け出し忍び込んだらしいのです。
"被疑犬"への事情聴取に、「証拠はあるのかっ！」とクマは訊きますが、朝一番に玄関を開けてやった時、一目散に水を飲みに行ったのは何だったんだぁと言ってやりました。（そりゃ喉も渇くでしょう）
それにしても、あると思っていた食べ物がないと分かった時ほど、悔しい思いをすることはありません。
この時のことを、我が家では「スキヤキ事件」と呼んでいます。